8月26日、ホテル東雲にてつくば市認知症学術講演会が開催されました。
一般講演で、みらい平クリニックの小松﨑八寿子先生より、「判断に苦慮する認知症の対応」というタイトルでご講演いただきました。先生の豊富なご経験を基に、診断あるいは対応に困難を伴う症例についてご呈示いただき、大変参考になりました。特に、プリオン病については、経過が早い例の鑑別診断の一つとして重要であることを改めて肝に銘じました。
続いて、特別講演では、慶應義塾大学医学部 精神・神経科学教室の三村將教授より、「認知症における最近の話題~病態と治療におけるトピックス~」というタイトルでご講演をいただきました。AD、DLB、FTDという3大認知症の臨床に関して示唆に富む最新の知見をたくさん教えていただき、大変勉強になりました。
興味深かった症例の一つは、「考想可視」(考えることが文字になって見える)を呈したDLBあるいはPCAの症例です。脳血流SPECTで、後頭葉の血流低下と側頭葉の血流増加が認められたことから、後頭葉の機能低下が側頭葉の機能開放をもたらし、それが症状出現につながったのではないかとの考察で、DLBにおける視覚異常のメカニズムに大きな示唆を与える知見と思われ、幻視が認められる症例のSPECTについて改めて見直してみようと思いました。
急速進行性DLBという概念も(確かに進行が早い例があることは経験していましたが)勉強になりました。これまでの報告では、通常の経過をたどるDLB例と病理学的な差異は認められないとのことですが、やはり病理像に何か特徴があるのではないかと関心を持ちました。